お前さんがもう少し歳を食って、その答えが分かったら。
そん時にはご褒美を……お前さんの欲しい言葉を、くれてやる。
[今は、まだ。言えるわけなんて無いだろう。それにそんな願いをかけられて、言うような言葉でも無いだろうと。
壁に追い詰められていく感覚に、深く、長く息を吐き。頭に手を乗せたまま暫し考えて、ぐ、と眉を寄せて諦めたように短い息を。
そうして、乗せた手は坊主の頬へ。
――頬を越えて、顎先へ。]
……だから今は、これで我慢しとけ。あんまりオッサンを困らせんじゃあ無ェよ。
[軽く持ち上げた顎へと顔を近付けて、掠めるように唇に触れて。直接触れた二度目のそれは、先よりも少しだけ、甘い。
そう、言えるわけが無いだろうに。認められるわけが、無いだろうに。
この歳になって、こんな餓鬼に。よりにもよって、男の餓鬼に――惚れさせられた、なんて。]
(52) ねこんこん 2015/04/13(Mon) 21時頃