う……ァ………やめっ……
[重力に従って背に落ちた液体は、意思を持つかのように傷口から入り込む。じわじわと背から広がっていく何とも言えない感覚を、何とか追い払おうと頭を激しく振るも、浸食者は無慈悲に背中の傷を撫で、痛みと僅かな快楽を持って裡に潜り込む。]
やぁ……や、だぁ……とっ、て……
[それをした相手に取ってと泣きつく行為にどれほどの意味があるのか。それすらも今の自分は理解できていない。
そんな時、耳に入り込む、独白のような呟きと密やかな金属音に>>2:448びくりと背が撓る。]
……――あ…………
[恐れていた時間が本格的に訪れたことを知る。腕の力で何とかその下から這いずり出そうとしたが、足に絡みつく自分の下衣が邪魔で、上手く動けない。そもそも動けたとしても血を失った体が常の俊敏さを発揮できるとは思えないが、今は逃げる事しか頭になかった。*]
(52) 2014/01/31(Fri) 21時半頃