ああ……、ベネット。なんだか向こう、騒がしくないかい?[彼は未だ、自身の手を取ったままであったろうか。もしそうだったならば、そっとその手を抜き取って、何事もなかったかのように声を掛けただろう。彼と触れ合うと、布1枚の存在さえ、もどかしくなる。――彼女のときは、そんなこと思い浮かびもしなかったというのに。ああ、訳のわからない感情には、取り敢えず蓋をしよう。そうして次の話題を探せば、騒がしい声が聞こえて、ちょうどよいとばかりに彼に投げ掛けてみる。頬の熱は中々引いてはくれないけれど。広場の方へと注意が向けば、きっと彼には分かるまい。]
(51) 2015/04/10(Fri) 02時半頃