[自分はどうにも女に興味がないらしい、と気付いたのは10代の頃である。
女性に告白されて付き合ってはみたけれど乗り気になれず、結局数ヶ月経たずに別れるのを何度か経て、今度は男ならどうかと思ったが、それはそれで余りしっくり来ず。
きっと色恋にあまり関心がない質なのだろうと結論付け、趣味と仕事に精を出す生活を送っていたのだけれど。
初めて彼が店に顔を出したのはいつだったか。
あれこれ考える前に目を奪われた。
見惚れる余り、思わず持ってた器を取り落して、―――珍しく慌てたっけ。
とは言ってもあくまで仕事中であり、
それ以外は努めて平常心を装っていたつもりだが、
彼からどう見えたかは分からない。
慣れない感情に戸惑って、でもきっともうそう会うこともないのだろうなと諦めて。
そんな男が同じ同好会に所属しているのだと知ったのは、それから少し後。>>24]
(50) 2015/11/10(Tue) 21時半頃