[しばらくして、恵冬が落ち着いた頃、健五郎がそっと教室へ戻ることを提案する。>>39
恵冬も、それに賛同を示して立ち上がった。
それなのに、秋野は咄嗟に、教室に戻りたくないと思ってしまう。
だって、ひなちゃんとけいちゃんを連れてくるね、っていったのに。>>32
そんな秋野の心を見透かすようなタイミングで、恵冬が手を差し出す。
「大丈夫?」と尋ねられた声の優しさに、ますます動けなくなる。>>47
思わずその手をとりかけて、気づく。不意に、彼女の目元に滲んだ涙。
それなのに「無理をしないで」と言ってくれる、その、気遣いに。
気づけば、口を開いていた。]
──もし、俺が、"ホスト"だったとしたら、
[教室へ戻ろう、という2人への同意ですらない。
全く場違いな言葉が口から飛び出してしまったのは、保健室での恵冬とのやりとりを思い出したせいかもしれなかった。>>3:232
誰が"ホスト"なのか、全く分からない現状の中で、それは仮定でしかなかったけれど。]
(49) 2015/06/26(Fri) 19時頃