[ メルヤという名はマダムがくれた。 呼び名がないのでは不便でしょうと、 記憶喪失ということに対して 腫れ物に触るような態度をとる訳でもなく、 ただただ穏やかに過ごす日々が続いた。 マダムは不思議な人だった。 素性も知れぬ自分の医療費やら生活費やら全て出してくれ、 なおかつ記憶の戻らない自分を、 まるで昔からここに住んでいたかのように扱うのだ。 最初は遠慮していたけれど、 それもいつしか氷が解けるように消えてゆき。 ]
(49) 2016/07/27(Wed) 01時頃