― 間の世界・廊下 ―[何秒か。あるいは、十秒とちょっとの、沈黙の時間。二人の目線はまっすぐに交差したままで。答えを待つ早瀬と、何かを言おうとする加賀宮のふたり。しっかりと握った拳を動かさない早瀬と、わずかに震える加賀宮。そうしていると。加賀宮の表情が、音もなく歪んで。>>45そこから漏れ聞こえてくる、悲痛な声。>>46えっ、と驚くような表情を、加賀宮は指の隙間から垣間見ただろうか。どきりと心臓がひとつ、跳ねる。何故彼がそんなに悲しそうで、苦しそうなのか。ただ、わからない、という思いばかりが渦巻く。]
(48) 2015/04/07(Tue) 22時頃