[廊下の壁にどん、と背が当たった。その音に自分で驚き、走り出す。
叫びたかった。誰かに相談したかった。誰に?先輩達の顔が浮かび、ミッシェルの名前が残る。無理だ。あの子に何を背負わせるつもりだ。自分の頼りなさはきっと全て彼女にのしかかる。
自らを恨んだ。]
そうだ、医者……それと、大人を呼ぶんだ。
[走り終えて、ちょうど玄関の大扉にぶつかった。このまま外に出よう。山を降りて人を呼ぼう。
ノブに手をかけると、その冷たさに驚いて手を離す。焦りを悪化させて再び掴み、錠を外しノブを回す。回そうと……する。
それはガチャガチャと音を立てるばかりで、扉はどれだけ押しても開かない。
はっとして窓を見ると外には思った通り、既に厚く雪が積もっていた。吹雪いているのだ。こうなってしまっては表玄関は開かないし、外に出たところで山は降りられない。]
……あぁ……。
[去年も、こんな雪だったろうか。
僕は息のような声を漏らし、絶望ともに膝を折った。]
(48) 2013/02/05(Tue) 13時頃