― 幕間・友人達との晩餐 ―
明らかに怪しいおっさんが隣の客の尻触ってたら、
誰だって痴漢だと思うだろ?
車両《ハコ》で掏摸より現実的だろ?
[その日の夕飯は友人らと囲んだ。
奢りと聞いて出掛けないほど詰まらぬ男ではない。>>40
しかもその日は仕事の失敗を愚痴ってしまいたくて仕方なかったのだ。気心知れた彼らになら丁度良い。無論、詳細は被害者の人権に考慮して暈した。――― 主に性別と年齢を。]
俺は車内で犯罪行為なんかしないが、俺なら尻を狙う。
金なら稼げば良いだろう? だが尻は違う。
いや、しないが例えだ。フィクション。
[ジョッキを握って真顔で語る酔っ払いは責任ある車掌ではなく24の若造の顔をしていた。酔ってからが長い絡み酒は酒を覚えた頃から変わらないまま。
お前らは?と聞いたがどんな返事を返されたか記憶に曖昧。ただサイラスは妙に機嫌が良かったし、ヤニクは気前が良かった。
お蔭で落ち込みがちの心も浮き、感謝を込めて自分の代金は自分で払った。結局いつも通りの割り勘だ。――― それがまた、心地良かった。**]
(48) 2019/07/28(Sun) 02時頃