[五歳の頃。小さな弟の手を引いて連れられた先には、もう一人同じような年格好の少年が居た。>>13
体つきも、目つきまで似ていて、大人たちは「今回は顔で選んだのか?」と笑っていた。それがキルロイの最初の記憶だ。
あれからずっと一緒に育てられて、朧は兄弟同然の存在だった。
背と頭脳では追い越された分、身体能力では突き放し、分野は違えど同じ仲間として肩を並べて戦ってきた。少なくともキルロイはそう思っている。
キルロイが小隊を任されるようになり、隊員として真っ先に指名したのが朧だった。]
余計な事考えんのが面倒なんだよ。
[結成時にぶっきらぼうにそんなことを言ったが、それはつまり、朧の頭脳を高く買っているということだ。
自分は敵を倒す。朧がフォローする。そのコンビネーションは組織でも高く評価されていたからこそ、彼の内心の葛藤など知る由も無かった。]
(48) 2016/06/04(Sat) 13時半頃