―>>46続き―
[露蝶の心など解らない。自分がしようとしているのが、礼儀というものからは逸脱した行為であることは自分にも解る。それでもなお、自分はそうしたい、と思ったから。……自分がしたいようにしないのは、「あの子」への裏切りでもあろう、とも考えて。
柄にもないのは承知のうえで、長い言葉を話し始めた]
恩のある露蝶さんの心に土足で踏み込むのを許して欲しい。
今、露蝶さんが落ち込んでる理由で、一番ありそうなのは……「誰か大切な人を喪った」……のかな、って思うんだ。
もしそうなら……力になれるかも、しれない。
あたしが感染者だっていうのは、前に話した通りだよ。
……それでね。感染した時から、この街を彷徨う、幽霊の声が聞こえるようになったんだよ。幽霊達にはあたしたちの声も聞こえてるみたい。
……もし、誰かと話したいなら、あたしはその人と、繋げられるかもしれない。
……それと、もし……あなたに、未来を棒に振ってでもその人と話したいという思いがあるなら……あたしは、あなたに同じ力を与えることも、出来るかもしれない。
露蝶さん。……あたしは……あなたに恩を返せる?
[話すだけ話して、露蝶の返答を待った]
(47) 2013/08/05(Mon) 18時頃