[>>44長い逡巡の間、口を挟むことなくキルロイの返答を待つ。
その瞼の裏に去来するものが何であるのか。それは最早、己にとって興味のないものだ。
ただ、淫紋を辿る指先から流れ込む毒の気配に、うっそりと笑う。
この毒を受けたキルロイの身体は、どんな味がするのだろう。
>>46歩き始めたキルロイの足取りに、迷いは見えない。
再び直円に触れるだけの口付けを落とし、首筋に残した鬱血の痕に柔く吸いついてから、己もまた、腰を上げる。
先を歩くキルロイの数歩後ろに己がいる。
それは対魔忍として魔の討伐に向かう際の光景によく似ていた。
キルロイが先を行き、己がその後に付き従う。その後ろに続くのは、彼の率いる隊員たちだった。
――しかし今、ここに居るのは誇り高く、気高い対魔忍の隊長では無い。その全身に淫らな淫を纏い、裸身を露わにした一匹の淫魔。
それが、今のキルロイの姿だ。]
(47) 2016/06/17(Fri) 20時頃