………チ…ア、キ、[大人なのにとか、男なのにとか、言い訳が浮かんでは消えてゆく。幼い頃、可愛がっていた仔牛が売られてゆくと泣いたナユタの頭を撫でた小さな手。自分も涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらも『大丈夫だよ、ナッちゃん』そう言って慰めてくれたあの掌。喉元からこみ上げる熱を、堪える事は出来なかった。声もなく、ただ涙が零れて顎へと伝う。そして漸く理解した。どんなに自分が心細かったのかを――]
(47) 2013/07/23(Tue) 23時半頃