[この母校を出た後、私は大学に進学した。
学びたいことを学び、サークルで学友たちとの仲も築いた。
そして予定調和的にどこかの企業に就職する曖昧な夢を描いて――様々なことが重なって、結果として、就活には失敗。
その後なんとか地元で非正規での職にありつき、いわゆるパートタイマーの身分となった。
その蔭で、中学時代から好きだった編み物の技術を用い、服や小物などを作るハンドメイド作家をやっている。]
…………。
胸張れる大人、とは言い辛いなあ。
[「様々なこと」の中に、けれど、木屋先生の死のことは含まない。含んではいけない――そう私は思う。
この学校を巣立つ時、「胸を張れる大人になる」と恩師に宣言した手前、彼女の死の所為でそうなれなくなっただなんて、思いたくなかったのだ。]
(46) 2017/01/27(Fri) 22時頃