―5月8日 早朝 町役場前広場―
>>42
[チアキが目の前で止まる。
ほんの僅かだけ、空腹を意識せずに済んでいた。心の隅で、“亡霊”の1人に感謝する。……その“亡霊”は感謝など望んで居ないであろうが。
それでもなお、彼を自ら食い殺す訳にはいかないという思いだけは、自分で再確認して。]
……チアキ……
[チアキの声音は、意外なくらい、落ち着いている。
とっくにナユタから情報が伝わっているものと思っていたが。いやそれ以前に、彼はパティから、自分が感染者だという情報を得ていたはず(>>5:0)だ。]
……怖く、ないの?
[話がしたい、と彼は言う。
それは、自分にとっても同じ事で。……襲いかねないから拒絶したいという思いよりも、チアキと話をしたいという思いが、勝った。]
……話は、出来ると、思う。でも……あたしが、様子、おかしくなったら。すぐに、逃げて。
それを約束して、くれないなら、口利かない。
[自分の手でチアキを殺めてしまうことだけは。それだけは何としても避けたいから。複雑な思いを胸に、顔だけをチアキに向けて返答した。その体は動かさない……動かせない。]
(45) 2013/08/03(Sat) 17時半頃