─ 儀式の間 ─[王女が召喚した勇者が魔王の手で殺された、と。王宮に着いた時、既にその情報は広まっていた。ケマルの弟子が、王宮に残っていた兵士が。シノブの骸を見て、本当だったのかと確かめるのを見て。それに対し、自分は何も、言わなかった。己の血について知る者は一部の者だけ。王族に近しい者しか知らぬように秘めてきたこと、だけれど]…貴方が生を取り戻したことは、恐らく、私しか、知らない。貴方は元々、我らに呼ばれて、巻き込まれただけの人だ。だから、異なる世界で、死なせる訳にはいかない。無事に元の世界へ、帰したいと、思って。
(45) 2013/11/24(Sun) 02時半頃