[問い返しに対する、自分の答えを告げて。今度こそ彼の答えを待つように、小さく首を傾げ。暗がりの中微かな灯りを辿って、眼鏡の奥を覗きこんだ。単純な関係で言うなら、時計屋と依頼主。>>1:344最初に依頼された古時計を直すにあたっては、壊れた部品の取り寄せに時間がかかることを理由にワンシーズン程の間、坂上の住宅へ通い。>>1:162その後も時折、客を紹介してもらったりもしたか。>>1:186友人と呼べるほどではなく。よくて知り合いに毛が生えた程度だろう。彼を前にすると、胸がざわめくのを自覚しても。迷惑を掛けることはないだろう距離で、たまに顔が見れる。そんなこの関係に、割と満足していたつもりだった。──はずなのだけど。]
(45) 2019/07/30(Tue) 02時半頃