──廃ビル2F・廊下──
[ いち早くこの場所を聞き出し駆けつけた亀吉は、四井たちが到着した頃には2Fだった。そこでようやく息のある者を見つけた。震えているが、ほとんど無傷だ。
そばへ駆け寄り、膝をついて声をかけた。生存者は呻き声のようなものを上げながら、ゆっくりとこちらに顔を向けた。]
! よかった……、私は亀吉。あなたを助けに参りました退魔忍です。
もう大丈夫ですよ、安心して……っ!
[ 生存者が抱きつこうとしてきたのを咄嗟に払っていた。
一目ではわからなかった。壁の触手が生存者のズボンに入り込み、卑猥な音を立てていることに。呻き声と思ったものは嬌声で、震えているのではなく腰を自ら振っている。
──あの日の相棒が重なって見える。]
………………。
[ 電気ショックを与えて意識を奪った。相手をしていては、救出及び討伐に支障が出る。階段近くの廊下に生存者をしまっておいた。オークに知性はないようなものだから、発見されることはないだろう。視界の敵は駆逐しながら生存者を捜索しているが、後から後からオークも触手もまるで湧いてくるようだった。]
(44) 2016/06/04(Sat) 13時頃