― 談話室での話 ―
[ 勇気が形になった衝突寸前、それは黒い腕によって回避された。
しかし行き先であった旧型の洗濯機らしきもの>>22には察知されていたようで、警告めいた表示がパネルに広がる。
ガスに燻んだ瞳に文字列を映して、一文字一文字丁寧に理解を染み込ませた。]
ご めんな、 さい。
あなたが はなせる の、しらなく て。
[ 体躯自体は特別大きい訳ではないが、足裏から下の空気の踏み台のお陰で前面の丸い窓の中、内側で回る青緑の影>>0:30を捉えることは難しい。
故に箱すべてが命ひとつなのだろうと、申し訳なさそうに塗装の剥げた白い肌を撫でようとする。]
うん、きを つけ、るね。
ころんだ ら、 いたい から。
[ 重量も速度も満たない以上、衝突の反動はこの身を後退させるだろうけれど、警告には素直に了承の意を示す。
だって、ヒトにぶつかるのはいけないこと。研究者の皆に教えてもらったことを心中で唱えた。]
(44) 2020/08/25(Tue) 20時頃