―赤い光輝くより前に―
[キルロイに穿たれて果てた後、キルロイと交わした会話は密やかに。
茫と蕩けた意識は、苦痛に喘ぐ声によって現実に引き戻される。]
Jさま……?
[ くるしそうな、声がする。
また、あの人は何かを耐えてしまっているのか。濡れた髪はリノリウムの床に水滴を残す。キルロイを胸の上に抱えたままで、顔を声の方に向けた。直円と朧が2人がかりでJに、何かを強いている]
――っ、――J、さま
[ Jはさっきまで死にかけていた。キルロイが、助けてくれたのに。それを甚振り、傷口を開くようなことをして、いるように見えて]
やめ、なさ……っ…!
[身体を捻り、手を伸ばした。届くはずもない、が。
ただ、焼きつくように思う。
その人に、ひどいことをしないで。
赤い光が視界を覆い、転移してしまえば離れ離れとなりうるのに**]
(43) azuma 2016/06/19(Sun) 02時頃