[吸血鬼の王は、生まれながら孤独だった>>38。
異質だ、という理由で虐げられ、服従させられた事を聞けば、何処かしら自分と重なった。
妾腹の子、と一族の中で異質だった自分は、ぼんやりと理解出来るのだが。
自分には母が居た、味方が居て孤独では無かった。
己は恵まれていたのだ、と思えば、同情の感情を抱く事すら憚れる。
ノストが人間から吸血鬼に生まれ変わっても、抗う事が出来ず、運命に翻弄されてた事に、沸々とした感情が湧き上がってくる。
言葉を発する事は無かったのだが、ぎりと奥歯を噛みしめ、拳を震わせながら、一人激情に耐えていた。
光を受け、滅びそうなのきっかけに、ノストが血反吐を吐く様な思いをし、力を身に付けた事を知り、乞食を嫌う理由を理解出来き。
とある上級悪魔に師事を受けた、と聞けば、廊下で会ったガーディの事なのか、と推測する。]
だから、ガーディには、頭が上がらなかったんだな。うん、納得。
[先程から湧く怒りを誤魔化す様に、わざと軽口を言いながら、最後の下剋上の話を耳にした。
彼から語られるのは、高揚では無く、何処かしら達観めいた様な、空しさの様な物を感じ取って。]
(43) 2015/08/05(Wed) 22時頃