[自分が昔ミッシェルにああして、怒られながらやさしくされたことを思い出す。自分はハナと違って正しく問題児だったけれど、ミッシェルや皆のおかげでこんなことを言えるまでになったんじゃないかと思う。]
あの子が幸せに大きくなれればいいな。
[呟いて顔をあげれば、廊下の先にはムパムピスが見えた。憔悴した顔で、恐ろしいものを見たように歩いている。]
ムパムピス、おはよう……どうしたんだ?
[その顔に、一瞬前とはうって変わった不安が押し寄せる。彼は沈黙の後に、ケイトが殺された、と言った。
理解が追いつかなくて、え?と聞き返すと彼はまたこぼすように、殺された、報いを受けたんだ、と言った。
報い。
聞いた瞬間、全身を逆立つような波が通り抜ける。汗がどっと吹き出てきて呼吸がまた乱れた。
夢の情景が僅かの間フラッシュバックして消える。]
死んだ……殺された?
ケイトが?……いや……死んだのは、誰……?
[目の焦点が合わない。口から出る言葉は意味が分からなくて、それでも正しくて。
僕はとにかくケイトの部屋へ向かって走り出した。
ムパムピスをあのままにして大丈夫だろうかとどこか冷静な部分では考えながら。]
(43) 2013/02/05(Tue) 11時頃