[ぐっとこめかみを押さえると、息を整えながら、ヨーランダに、黒猫店主の薬を差し出す。]
あの鐘に、あなたの魔法でこれを飛ばすのを手助けしてもらうことは出来ませんか?
[場違いな飾り灯りの薬を差し出されて、彼女は怪訝な顔をしたろうか。
空気を含んで舞い上がる薬だけでは鐘まで届かないだろうが、魔法の後押しがあれば、或いは。]
俺が、指輪から読み取った記憶を、この薬に乗せます。
モノと共鳴しあうのが俺の魔法です、逆に使ってやれば、記憶をモノに転移してやることも出来るはず。
[それで、少女の思いを乗せた飾り灯りを鐘まで届けてやれば、鐘の心も鎮まるかもしれないと。
扉にかけられた魔力が解ければ、あの扉を抑える力は緩むだろう。]
上手くいくかなんて保障はありませんが、一か八か、やらせてください。
[きっぱりと、相手の目を見て。
じんじんと耳鳴りは一層強くなって、それでもここで退くわけにはゆかない。]
(42) 2011/09/30(Fri) 23時半頃