[もしかしたら、もう、元のようには戻れないかも知れない。
突然、はっきりとそう思う。
キルロイとも、亀吉とも。
かすかに震えているようにも見える影流の背中に、ここから今すぐ逃げ出さなくては、とつよく思う。
けれど、布団一枚の下、キルロイの体は彼と己の出した精液で汚れていて。
せめてそれを、綺麗にしてやりたいと思う。
このまま立ち去ったら、ヤリ捨てみたいだ]
キルロイさん、食欲ないみたいだ。
点滴、薬だけじゃなくて、カロリーも入れといたほうがいいかもしれない。
[影流に投げかけた言葉は、はたして伝わっただろうか。
布団をめくられる可能性もあるのに、四井の足はじりじりと後退し、手はドアノブにかかった。
……入り込めない。ふたりにしたほうが、いい]
汗拭くタオルとか、持ってくる。
[そう呟いて、キルロイの部屋を後にする。タオルを濡らして、すぐに戻ってくる。そのつもりだ**]
(42) 2016/06/09(Thu) 18時半頃