[着いて来てくれるのならそのメンバーで学校の方面へと向かおうと。
その途中で、今は何の枷もないであろう武藤の左手首に視線を移す。]
…次の休み、空けといて。買いに行こ。
[小声で武藤に囁けば一度少しだけ低い位置にある頭をかき混ぜてやろうと腕を伸ばして。
相手の反応がどうであれすぐに腕を引っ込めれば、信号を待っている間考える。
今でも誕生日間違えについて種明かしする気はないこと。
男の沽券に関わると思っていることと、自分の知る「雪ちゃん」は小さくて、幼くて、負けず嫌いで。
それは今でも変わらずあると確かめる術を他に知らないから余裕ぶるために、大きいフリをしたいから。
今ある武藤を拒絶する気はないけれど。
ぼうっとしていれば赤が青に切り替わる。
ハッとすれば一歩踏み出して通い慣れた道へと進もうとして―――…
そのあとのことは、あまりよく覚えていない。]**
(42) 2015/04/02(Thu) 03時半頃