―自室―
……―あー、こりゃダメだわ
[自室の扉を開くと、そこは腐海だった。もう底が見えない床には使いかけの化粧品や乳液などが積み上げられている。ベッドの上には脱ぎ捨てられた服、バッグ、アクセサリー、雑誌。
とてもじゃないが年内に片付けが終わるとは思えない。早々に部屋の掃除を諦めると、窓を開け、愛用するメンソールの煙草を口に咥えた]
……それにしても、ねぇ
[改めて思う。入居人に子どもが増えた。そして、ここにいる大人と言えば、怪しげな雰囲気を漂わせる管理人。愛想の悪い大学生。荒くれ坊主。色気を振りまく女。不安定な生活をおくっている漫画家。女言葉を話す男。日本語のたどたどしい外国人。
そして夜の仕事を生業とするオカマの自分。
どう考えても、情操教育によろしいとは言えない環境だろう。
お世辞にも上品な家庭で育ったとは言えない自分ですら、心配になる]
――まぁ、いい社会勉強になるのかしらね?
[そうひとりごちると、ライターで火を点け、プカーと白い煙を吐き出した]
(42) 2013/12/30(Mon) 19時半頃