[実際にウイルスに感染しているかどうかは、きっと誰にも分からない。
体質のせいかもしれない。本当に感染しているせいなのかもしれない。
だからこそ――――]
分かって、います。無理に、入ったりは、しま、せん。
扉は閉じたままで、結構です……。
です、が。ここを離れること、も、できません。
[扉に付けられた窓を静かな目で見据えながら、男はきっぱりと言い切った]
せめ、て。この場所、で。感染された方々が近づくことを、防がせていただきます。
俺はもう、嫌なんです。
俺の至らない行動のせいで、迂闊な行動の、せいで……誰かを救うことが、できなくなってしまうだ、なんて……。
クロエさん、と、バーレーさんの、ご無事な姿が見えた時、俺は本当に嬉しかった>>1:250。
[ぐっとまぶたが閉じた後、ふと、顔を背け車いすを反転させると。男は扉に背を向けた]
ですが、もし俺が感染していて、他の感染された方のような、変化が起きて、しまったら。理性を、失って、しまった、ら。
……この背もたれにある、介助用レバーを掴んで、そのまま横に押し倒してください。
それだけで、俺はほとんど、無力化できるはずですから**。
(42) 2011/12/03(Sat) 03時半頃