んー…
[半分ほどの長さになった関節剣を振り上げて、剣の間合いを確かめるように周囲の地面を切り裂く。
右の視界が霞む富楽とは異なり、雪の右目は完全にその役割を失っていた。
痛みを感じないのは、小太郎に貰った薬のおかげか。
見えない右半分を庇うように、無意識の首を傾けて左目だけですべてを見ようとする。]
止めよう、なんて、言わないよね?
死ぬまで雪と、遊んでくれるんだよね?
[確かめるように問いかけて、折れて砕かれた関節剣の一部を拾う。]
雪、まだ動けるよ?富楽だって、まだ動けるでしょう?
[着物の裾を裂いて刀を握る右手を上からぐるぐると巻いて固定すると、折れた刃を口に咥えた。
まだ動ける。まだ生きている。なら止まる理由はない。
傷ついた足で富楽へ向かって駆け出す。
折れて短くなった分、より深く富楽の懐へ飛び込もうと。*]
(41) 2015/05/21(Thu) 20時頃