[いや。違う。違う。
“コレ”は、違う。断じて、彼女じゃない。水野、じゃない。ただのつくりもの。でも、彼女の姿は何処にもなくて、それに、この鉄臭い匂い、は。なんだ。なんなんだ、これは。
分からない。考えたく、ない。]
ちがう……これ、は、水野、じゃない。だから、だいじょうぶ、だ。大丈夫……
[崩れ落ちている古辺。叫んでいる入間。それはまるで、本当に、誰かが死んでしまった現場、のようで。
頭が、ぐらぐらと揺らぐような感覚がした。
それでも、誰かを気遣うことが出来たのは、ただ、二人が自分以上にショックを受けていたから、自分が、なんとかしなければ、と、漠然とそう思ったからで。]
ふる、べ……古辺、だいじょうぶ、か。
[血なんて気にせず、崩れ落ちている古辺の隣に膝をついて、声をかける。
その声も、きっと震えてしまっていただろうけど。
それから、こういう時どうしたらいいかなんて、全然知らなかったけど。ぎこちなく、彼の背中を擦ってみただろう*]
(41) 2017/03/12(Sun) 01時頃