[ パパ、今度ピアノの発表会があるの。
幼い私がそういうと、面倒くさそうな顔を隠しもせずに、仕事があるから行けないなあと言います。父と母によく頑張ったねと頭を撫でて欲しかった私は、とても悲しくて泣いてしまったのを覚えています。すると父は、慌ててわかったわかった、一応予定開けてみるから。すぐ泣かないんだよ。と撫でてくれたのです。私はそれが嬉しくて、もう悲しくはなかったのに、泣き続けました。けれどものの1分も経たない内に、気付いてしまったのです。父のその言葉は、貴重な休日を私なんかで潰されたくないから、必死にそれらしい事を並べているだけだと。
私は幼かったですが、その時に悟りました。
父も母も、娘を愛する事を強いられているだけで、本当に愛してはいないと。
結局父は、発表会には一度も来たことがありませんでした。]
(40) 2015/11/05(Thu) 06時頃