―大広場/昼前―
[広場を行き交う人々を眺める。昼食を作る為散開する主婦たち、子どもたちはその後を追いかけ、観光客はどこで昼食を食べようかと相談しながら店定めをしている。昼時の広場は少々慌ただしい。
今なら観光地は人がまばらになっているだろうか、と移動しようと思ったその時、一組の男女が自分の手前で止まる。写真でも頼まれるのだろうか、と考える。しかしその予想に反してご飯に誘われたものだから、吃驚して思わず「えっ」と声が漏れた]
あぁ、いや、僕はこれからやることがあるので……
[間の抜けた声を取り繕うように返事をしながら改めて二人を見ると、女性の方はシスターの格好をしていてとてもカップルという風貌ではなかった。見ず知らずの男をいきなりご飯にさそうとかどういう精神構造をしているんだ、と思ったけれどよくよく考えればどこかで聞いたことのある声、だった気がする。声をかけた男性を髪の先から足の先まで視線を這わす。
こんなイケメン、知り合いにいただろうか…]
(40) 2017/08/08(Tue) 22時半頃