[お願い、……電車、早く来て。その祈りに呼応するように、雪の向こうに見慣れた車体が朧に浮かび上がった。思わず顔を緩ませる。自分が願ったちょうどその時に、待っていた何かが起きるということ。こういうのって、少し嬉しい。やがて、電車がホームに滑り込む。待ち焦がれたそれに乗り込み、あいている席に座る。漸くひと心地ついて、穂積 千佳子は、安堵のため息をついた。**]
(40) 2015/07/04(Sat) 02時頃