279 宇宙(そら)を往くサルバシオン


【人】 消防隊長 トルドヴィン

[触角男>>37、と呼ばれてぴょこんと触角が動く。
 喋ったことには特に驚かない。そういう宇宙人なのか、と思っただけだ。]

 これは失礼した。
 化学者のアーサー、か。覚えておこう。
 わたしはトルドヴィン。……焚書官をしていた。

[外骨格じみた手を片方胸に当てて、簡潔に名乗った。
 彼、アーサーの毛並みから男が連想した"襟巻"は女王の首元を覆う和毛であり、女王が女王であることを示す印とも言える、女王本人の体毛である。
 その連想と彼の尊大な物言い、それに化学者という肩書き(男の母星では知識層はある程度の地位を保証される存在である)から何となく、敬意を払うべき相手であると認識した。]

 ……。

[それはそれとして、何となくその視線に寒気を感じたので触角は引っ込めた。]

(39) 2020/08/22(Sat) 16時頃

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