[しばらく歩けば友人がここからは分かるよ!と言って走って行ってしまった。きっと新しい生活…というよりは新しく出会える男にワクワクしているのだろう。相変わらずね、と苦笑を漏らしながら1人ゆっくりと通学路を歩く。]
制服も変わっちゃったのよねぇ。
[学ランに目を落としながら、男子校で過ごしていた中学時代を思い出した。
それなりに親しくしてくれる人はいたものの、特定の友人、というものがなかなか見つからなかった。幼馴染も学校が違ってなかなか会えなかったし、自分はこんな性格だからと女性の心を持つ事に悩んだ事もあった。そんな自分が今こうして堂々としていられるのはあの時、ある人が言ってくれた言葉だった。]
『自分は自分、他人は他人。みんな違ってみんないいんだから、悩む必要なんてない。誇りを持って生きればいい。』
[そう言ってくれた人がいたおかけで今の自分がいるのだ。あの人は元気にしてるだろうか、と懐かしさにも浸りながら、新入生になった気分で新しい通学路を歩いて行った。 道中で誰かに会うことはあっただろうか。]
(39) 2014/10/14(Tue) 11時頃