ー最終日・薄葡萄ー
[何度か声を掛けてみたが、反応がない。まだ寝てるのかな、起こすのは可哀想だけど時間が…と思いながら、返事を待たずに部屋に入ろうとする。と、響く軽い足音。間を置かずにドアが勢いよく開き、久方ぶりの姿が飛びついてきた。]
うわ、ちょ…っ
………なんだ、もうすっかり元気じゃない。
私も、愛梨がいなくて寂しかったよ。
[驚いたのも束の間。ぬくぬくとした体温、明るい声の調子から、彼女の健康を見て取ると、腕を回して抱き返してやる。表情は見えないが、きっと眉を下げて甘えているのだろう。
本当可愛いなあ。すぐ寝起きとわかる、乱れた彼女の髪を抱きつかれたまま優しく撫でる。
潤が起き出してくれば、挨拶と体の具合を聞いただろう。]
はいはい、風邪引いてる間に何かあった?
[回した腕を緩めて、やっと彼女の顔を見る。特に意図はなく話題を探して問いかけて。]
(39) 咲 2014/04/22(Tue) 16時半頃