― 本部・廊下 ―
そう、無いんだ。
だから、今の君の欲求は人の手で解消するしかない。
[>>#0会議でなされたものと同種の情報を彼に与える。
欲を発散させることでしか症状を抑えられないと知れば、キルロイはどんな顔をするのだろう。
見てみたかったが、伏せられたままのそれを無理矢理上げることはしない。
彼から発せられる淫気は、己には作用しないはずだ。
しかし己は確かに興奮していた。この手の動き一つで、身体をひくつかせ、声を堪えて息を詰めるさまが、たまらなくそそる。
あくまでも淫気に充てられ、彼に惑わされているフリを続けるつもりでいたというのに、口元は自然に弧を描く。
腕を振り払おうとするのを逆手に取り、彼の手首を強く掴む。
そのまま強く引いて、手近な壁にキルロイを追い詰めようとした。
食事のトレイが落ちようと、点滴のスタンドが倒れようと、構わない。]
(38) 2016/06/07(Tue) 13時頃