166 悪魔の揺りかご


【人】 革命家 モンド

[散らかる真紅の水は、海に満ちたそれと大差ない。
しかし、部屋に散らばったのは水だけに在らず、
衝撃に耐えかねた肉片が絨毯に懐いていた。
鼻先を擽る鉄錆の匂いと、醜悪な継ぎ接ぎの本性。>>26

されど、男に罪の意識は路傍の石を踏んだほどもなく、
寧ろ、取れ易いな。と、端的な感想を落としたのみ。]

 海原そのものを張るほど勤労じゃねぇな。
 俺は世界の端っこだ。

[血飛沫と肉塊の中に沈む相手に応じる声は軽く。>>30
下級種が這い蹲っていようと、些事と云わんばかりの態度。
目の前の相手は同胞と呼ぶには小さすぎて、
愛玩し稀有な寵を分けて、漸く価値を見出す存在に過ぎない。
互いの間には、海溝よりも深い格の差が横たわるのだ。]

(38) 2015/08/01(Sat) 01時頃

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