[散らかる真紅の水は、海に満ちたそれと大差ない。しかし、部屋に散らばったのは水だけに在らず、衝撃に耐えかねた肉片が絨毯に懐いていた。鼻先を擽る鉄錆の匂いと、醜悪な継ぎ接ぎの本性。>>26されど、男に罪の意識は路傍の石を踏んだほどもなく、寧ろ、取れ易いな。と、端的な感想を落としたのみ。] 海原そのものを張るほど勤労じゃねぇな。 俺は世界の端っこだ。[血飛沫と肉塊の中に沈む相手に応じる声は軽く。>>30下級種が這い蹲っていようと、些事と云わんばかりの態度。目の前の相手は同胞と呼ぶには小さすぎて、愛玩し稀有な寵を分けて、漸く価値を見出す存在に過ぎない。互いの間には、海溝よりも深い格の差が横たわるのだ。]
(38) 2015/08/01(Sat) 01時頃