147 月夜ノ緋糸結ビ 


【人】 酸味探し ドリベル


  ――――……あ、  ゆた にぃ?

[此処ではない“いつか”を視ていた瞳が、『回線』を通して伝わる声を拾った事で現に戻る。

気付けば心臓は走った後のように忙しなく脈打ち、そのくせいつも冷えている指先は一層冷たくて、片手に持ったグラスの冷たさなんて感じなかった。]

 (……だいじょうぶ、ゆた兄はいきてる。)

[忘れていた呼吸を、息を、そっと吐き出して。
『回線』と周りの声に耳を傾けながら、混乱する周りに紛れるように静かに、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。]

(37) 2015/01/20(Tue) 02時頃

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