―そして・生物学教室の前で―
[告げられた言葉に>>4、絶句した。
『感染している可能性がある』。その意味を受け入れることにどれだけの時間がかかったことだろう。
ありえない。そうならないよう、細心の注意を払っていた>>1:312はずだったのに。
扉には手を伸ばさない。生徒を怯えさせてはいけない。
それでも、耐えきれずに振り返ることだけは、どうか許して欲しい]
ク、クロエさん。ちょっと待って、ください!
俺は、見ての通り、健常です。
そ、その検査の精度は、本当に、確かなものなのです、か?
……いえ、『可能性』と仰る以上、確定ではない、の、ですよね。
[恐らく、『感染』は確定されたものではない。
男はそう察し、逡巡の末……あっ、と小さく言葉を漏らした。
思い返すのは、もう10年も前のこと。
「車いすの教師」に慣れた時分に、知り合いの医師から受けた進言。
あの時は、今とは逆。
――――男は、『可能性』に夢を託していたのだった]
(37) 2011/12/03(Sat) 03時半頃