[身をくるんでいた毛布を足元へと落とせば外気に肌が曝される。自然と動悸が苦しくなるのは、噂のせいではなかった。最早、男にとって噂は力を持たない。彼の目に自身の全てが触れている事で、この身が焦げそうだ鉄錆が鼻腔に甘く届こうか、他人の血の臭気を嫌う。彼の身体を包んでいいのは、彼自身の体臭だけ。強い嫉妬に駆り立てられ、自然と彼の背広へ手が伸びる。断られても衣を脱がせようと、震える指が脱衣を手伝う。ネクタイを抜き、脱衣籠の中へ放り込み。別の衣類をドールに用意させればいいのだと、この籠の中にあるものは、全て処分させる算段で。]
(36) motimoti 2014/02/08(Sat) 18時半頃