[何か魔法を使ったか、それがなんの魔法かはわからないが、力が抜けたらしいヨーランダ。
息を瞬間あがらせたペラジー。
たたらを踏むことしか敵わなかった己には、久しぶりにすっかり諦めたと思っていた感情が湧く。全く以て能無しだ。
もっとも今はそんなことを気に病んでいる場合ではない。
イアン>>14がぽつ、ぽつと話し始めた言葉に耳を傾ける。
鐘の声、塔と鐘、鐘の想い、イアンの想い。
彼はそれに返せる言葉を持ち合わせてはいなかった。
塔はそもそもあって当たり前で、だからこそ魔力が尽きかけ、塔が朽ちようとしているといえども、それに対する有効な手立ても、また塔を壊そうとも思えなかった。
少しずつ、魔力の募金のようなことができれば、それが一番いいような気もするのだが。
しかし、それは先ほどすでに話に上り、どうすればそれができるのかわからないという結論に至っていた。
彼もまた、せいぜい風変わりな研究者に依頼することくらいしか思い浮かばなかったが、それも本当に有効なのかどうか。また時間がかかるのはどれほどなのだろうと]
(36) 2011/09/30(Fri) 23時半頃