[ こつん、 こつん、と青い洞窟に響く足音。 ]
[かさり、と、七つの”美徳”が記された紙を見つめ微笑む。]
ボクには、優れた智慧もなければ、純潔な魂だって持ち合わせず、無論、救恤なんて慈悲を施す行為に及ぶべくもない。
人より誰より劣るボクは勤勉の為の熱意など持てないし、キミが他人を見ることへの忍耐力なんてものはひとっかけらもない。
おまけにたったひとつを守りぬく忠実ささえも、キミとともに喪った。
[ 少年はうたう ]
…………ああ 妬ましいなあ。
ηλι ηλι λιμα σαβαχθανει(エリ・エリ・ラマ・サバクタニ)!
――わが神よ、わが神よ、どうして私をお見捨てになったのですか、
なーんて
[ちりちりと心をゆがめる劣等感と、心を燃やす嫉妬さえも楽しむように。少年は歌う。やがて洞窟の出口へといたると、きらきらとサファイアのように輝く海が見えた。]
(35) 2014/12/26(Fri) 09時頃