──屋敷──[辿り着いた場所もまた、不思議な建物だった。よく知る造りとは違うし、そこにいた人々もまた、まったく見知らぬ格好や肌の色、毛並みであり、なんだこれはと目を瞬かせる。]ああ。戦士と、花の化身。なるほど。見間違うことだけは、ないな。[体格と、性別と、ほか諸々。とりどりの人々に、思わず慣れた獲物を手が探す。何もないのが、落ち着かない。もう片側の少女の柔らかな手が、なんとかおれの気をなだめている。戦いが好きかと聞かれ、答えられなかった苦味を思う。嫌いだなど戦士の回答ではないが、すぐに対面する相手と殺しあう可能性を考えてしまうのは、戦闘狂いのような癖だと思えた。]
(35) 2015/12/09(Wed) 13時頃