[生ゴミを乱雑に袋に入れ口を縛って、可燃ゴミ用の大きな袋に入れる。ぱんぱんになったゴミ袋を、絆創膏を貼ったばかりの右手で持って無言で玄関を出た。
通学路へ行く前にゴミ収集場へと向かうと、同じようにゴミを捨てに来たお隣さんと目が合う。]
おはよーございまーす。
[お隣さんは一瞬顔を強張らせると、少し遅れてからおはようと苦笑いで返した。
憐愍混じりの気味の悪いものを見るような目がどうしようもなく落ち着かなくて、さっさと学校に行ってしまおうとゴミ袋をネットの中へと放り込む。
会釈して学校に向かおうとすると、お隣さんが声を掛けてきた。]
「……食べ物は粗末にしちゃダメよ。」
[ゴミ袋を横目でちらりと見た。
それから、次から気を付けます、と返事をして足早にこの場を去る。お隣さんは気まずそうな、不気味そうな表情で黙り込んだままだった。]
(35) 2015/06/17(Wed) 09時頃