ー白軍拠点/自室ー
[ 弓を手に踏み入って来た旧知の顔を見ても、オスカーの澱みを湛える双眸は揺るがなかった。
まるでそう在る事が正しいのだと、そう思わせる雰囲気を彼は纏っている。]
おやおや、また懐かしい顔だ、ね? メアリアに続いて今度はキミか、同士サイラス……ふむ、殺しの匂いがするな、まぁ戦時下なのだし当たり前の話ではあるのだが、鼻がひん曲がりそうだよ
あぁ怠い、面倒臭い、萎える、やる気が、根気が、気力が削がれる。とりあえずキミは奥に居たまえ、何かもう色々と解説するのも怠いから。身の安全については保証してやるさ、ほらコレを、決して離さぬように大事に持っておくといい
[ 紺に紅、ロバの刺繍の入った徽章を侍女に渡すと部屋の最奥で待機するするように告げるオスカー。
彼は其の様子を見送り、べったりと羽毛布団に背中を預け仰向けの姿勢から逆目にサイラスを認めると、死ぬほど気怠げにゆっくりと口を開く。]
(34) 2014/07/19(Sat) 18時半頃