[どこまでも冷たく見下ろすばかりの父親の姿が目に浮かぶ。
母を守る事も、自分を助ける事もしなかった父。
そんな父親は、たった一度だけ魂を分け与えてくれた事を思い出したが、掻き消す様に頭を振る。]
親父は一度たりとも俺達親子を助けようともしなかった。
偉そうに踏ん反り返っているだけで何もしない。
そんな親父の鼻っ柱を折りたくて何度も何度も楯突いたが。
……後は、どうなったのか分かるだろう?
[自嘲めいた笑いを浮かべ、ふっと吐息を漏らし視線は床へと吸い込まれた。]
身内に馬鹿にされても、親父に叩きのめされても、俺は何度も親父に刃向かったが、結果は散々。
とうとう呆れたのか、俺を追い出した訳。
後は当ても無く彷徨いながら、弱い奴を食ったり、強い奴にのめされたりしながら生きて来たんだ。
んで、此処の噂を聞いて来た、そういう事。
[伏せていた視線を上げ、ノストを見つめれば、話は此処までだ、と無言で伝えた*]
(34) 2015/08/05(Wed) 18時半頃