前にも言った様に、俺は妾腹の子だ。
お袋は、弱い魔犬で、間に生まれた俺も一族の中で落ちこぼれてた。
[腹違いの兄弟、父の本妻、そして父。全員が母や自分より遥かに強い力を持ち、凌駕していた。
そして、兄弟や本妻はこぞって弱者な親子を虐げ、嬲り、無様に這いつくばる様子を嘲笑してる様子を思い出し、ぐるっと喉を鳴らす。]
本妻や兄弟は、俺ら親子が気に入らねえのか玩具かしか見てなかったんだろうな。
暴力なんて当たり前、飯抜き水抜きもザラ。
玉ねぎを無理矢理食べさせられて死に掛けた事もあった。
[犬にとって毒でしかない玉ねぎを食べさせられて、生死の境を彷徨った記憶も蘇った。
よく自分は生き残れたな、と思いながらも、胸の中で渦巻く憤怒を隠し、目をギラギラさせたが、ふぅと息を吐き冷静を取り戻す。]
それでもお袋は、俺を育てる為に何度も何度も媚びて諂っていたさ。
そのおかげで無事に育つ事は、出来た。
本当は、そんな事をされたく無かったがな。
[ここまで話しても、父親の話は出ず。
どうやって話して良いのか、迷いが生じ天井を仰ぎ、ゆっくりと尻尾を振った。]
(33) 2015/08/05(Wed) 18時半頃