[今日は何とも道ががらりとしている。
転々と目につく誰もが居心地悪そうに忍ぶような足取りをしている風に感じられる。ふと思い、珍しく掲示板の貼り出しに目を通せば、合点。噂の事件は、その魔の手を更に伸ばすつもりらしい。『明日は我が身』 昨日、客人が言っていたことばが浮かぶ。
あたりから、こちらを警戒するような視線がちらつく。
気味の悪さは転じて気味が良い。
奇異の目を向けられるのは日常茶飯であるし、何たって人通りが少なく歩きやすい。
浮かれて歌を口ずさむ。
そこへ混じるように、からんころんと木を転がすような音、そして自分に向けられたのであろう声。>>30
どうやら笑われているらしい。
声の主は、白い男。自分のそれとは似ていない薄い白の髪。
嗅覚ではなく、第六感で感じる獣の匂い。]
呑気は楽しいぜ。アンタもどお?
[これ幸い、暇をしていたのだ。ニヤニヤと牙を見せて、話しかけた。]
(33) 2015/01/11(Sun) 14時頃