――回想/過去――
[それは、僕が黍炉のメンテナンス担当になって、一ヶ月くらいの出来事だっただろうか。
僕は今まで自分のために生きてきた。
自分自身の幸せのために、この学校へやってきた。
自分のために生きる事が、当たり前の事だったんだ。
なのに、あいつは他人のためだけに生きているんだ。
それが、僕には受け入れ難かった。そういう人間だと感じた時に、とてもひどい顔をしてしまったのを覚えてる。
そして、悩みに悩んだ末、あいつにこう言ったんだ。
「生体が無くなったら、どうするんだよ。」
この問いの答えは何だっただろうか。
ただ、もしも、彼が戦場へ行って死んでしまうようならば、聞かない方が良かったのだろうか。
そうでなくても、言うべきじゃなかったんだろうか。
でも、今だってそんな幸せは理解出来ない。
そんな事を考えながら、今の授業も過ぎていく。**]
(32) 2016/05/07(Sat) 12時頃