[ああ、とうとうミームはおかしくなって、勇者様の幻聴まで聞こえるようになってしまったんだろうか。咄嗟に考えてしまったのは、そんなことだった。
がば、と身を乗り出して、勇者様の顔を覗き込む]
勇者様……生きてる、のです……?
[やっぱりフィリップは禁術を使ったのか。あれほどダメだと言ったのに。捕まえて盛大にお説教しなくては。
そう思う一方で、泣きそうなくらい嬉しい気持ちをミームは誤魔化しきれなくて。
勇者様が生きてる。生きてる。生きてる!
懸命に涙を堪えた。ぐっとこぶしを握り締めて]
勇者様、じっとしててくださいなのです!
ミーム、治療をするのです!
[へとへとに疲れ果てて、魔力もほとんど底をついているはずなのに。それなのに、嘘のように体が軽かった。
だってミームはヒーラーで。一番大事な人が、ここにいるのだ]
(31) takicchi 2015/05/03(Sun) 12時半頃